骨太方針2025閣議決定 ~医薬品関連~

 2025.06.14

経済財政運営と改革の基本方針2025 について」、いわゆる骨太方針が6月13日に閣議決定された。


全世代型社会保障の構築

持続可能な社会保障制度のための改革を実行し、現役世代の保険料負担を含む国民負担の軽減を実現するため、OTC類似薬の保険給付の在り方の見直しや、地域フォーミュラリの全国展開、新たな地域医療構想に向けた病床削減、医療DXを通じた効率的で質の高い医療の実現、現役世代に負担が偏りがちな構造の見直しによる応能負担の徹底、がんを含む生活習慣病の重症化予防とデータヘルスの推進などの改革について、引き続き行われる社会保障改革に関する議論の状況も踏まえ、2025 年末までの予算編成過程で十分な検討を行い、早期に実現が可能なものについて、2026 年度から実行する


中長期的な医療提供体制の確保等

リフィル処方箋の普及・定着や多剤重複投薬や重複検査の適正化を進めるとともに、保険外併用療養費制度の対象範囲の拡大や保険外診療部分を広くカバーし、公的保険を補完する民間保険の開発を促す。


創薬力の強化とイノベーションの推進

政府全体の司令塔機能の強化を図りつつ、医薬品業界の構造改革を進めるとともに、「健康・医療戦略」に基づき、創薬エコシステムの発展やヘルスケア市場の拡大、創薬力の基盤強化に向け、一体的に政策を実現する。新規ファースト・イン・ヒューマン試験実施施設など、国際水準の治験・臨床試験実施体制を整備する。MEDISO・CARISOの体制を強化し、ヘルスケアスタートアップを強力に支援するほか、革新的医薬品等実用化支援基金の対象を拡充することを検討し、創薬シーズの実用化を支援する。国民負担の軽減と創薬イノベーションを両立する薬価上の適切な評価の実施、承認審査・相談体制の強化、バイオ医薬品を含む医薬品の製造体制の整備や人材育成・確保により、国際水準の研究開発環境を実現し、ドラッグラグ/ロスの解消やプログラム医療機器への対応を進めるほか、PMDAの海外拠点を活用し、薬事相談・規制調和を推進する。大学、ナショナルセンターと医療機関が連携して担う実証基盤を整備するなど産業振興拠点機能及び開発後期や海外展開に向けた研究開発支援を強化し、治療機器やプログラム医療機器を始めとした日本発の医療機器の創出を促進する。

医薬品の安定供給に向け、抗菌薬等のサプライチェーンの強靱化や取り巻く環境の変化を踏まえた持続可能な流通の仕組みの検討を図るとともに、感染症の流行による需要の急激な増加といったリスクへの対策を講じ、基礎的な医薬品等の足元の供給不安に対応する。さらに、少量多品目構造解消に向けた後発医薬品業界の再編を推進するほか、バイオシミラーについて、国内生産体制の整備及び製造人材の育成・確保を着実に進め、使用を促進する。当初の医師の診断や処方に基づき症状の安定している患者が定期的に服用する医薬品や、低侵襲性検体である穿刺血を用いる検査薬を含む医薬品・検査薬の更なるスイッチOTC化など、具体的な工程表を策定した上でセルフケア・セルフメディケーションを推進しつつ、薬剤自己負担の見直しを検討する。全ゲノム解析を推進し、2025年度の事業実施組織の設立、ゲノム情報基盤の整備や解析結果の利活用を進める。iPS細胞を活用した創薬や再生・細胞医療・遺伝子治療の研究開発を推進するほか、新規抗菌薬開発に関する市場インセンティブなどにより薬剤耐性菌の治療薬を確実に確保するとともに、ワクチン・診断薬・治療薬など感染症危機対応医薬品等の開発戦略の策定・研究開発を推進する。イノベーションの推進や現役世代の保険料負担への配慮の観点から、費用対効果評価制度について、客観的な検証を踏まえつつ、更なる活用に向け、適切な評価手法、対象範囲や実施体制の検討と併せ、薬価制度上の活用や診療上の活用等の方策を検討する。標準的な薬物治療の確立に向け、休薬・減薬を含む効果的・効率的な治療に関する調査研究を進め、診療ガイドラインに反映していく。医薬品の適正使用や後発医薬品の使用促進のみならず、医療費適正化の観点から、地域フォーミュラリを普及する。小中学生から献血に対する理解を深めるとともに、輸血用血液製剤及びグロブリン製剤、フィブリノゲン製剤等血しょう分画製剤の国内自給、安定確保、適正使用を推進する。アクションプランに基づく医療用等ラジオアイソトープの国産化及び利用促進に必要な体制整備等の取組を進める。

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