まずは増やすところ
2023/11/09
昨日の中医協総会では、「調剤(その2)について」が示された。
主に、対人業務に係る評価の新設、算定要件の拡大や緩和に関するポイントが列挙された。
まずは点数を増やす部分が取り上げられたと言っていいだろう。
対物から対人への評価配分シフトは必至であり、次回以降に示される減る部分を少しでも補う準備が必要だ。
▼以下、11月8日 中医協総会資料より
課題①
(調剤医療費における課題)
• 「患者のための薬局ビジョン」の策定以降、患者本位の医薬分業を目指し、かかりつけ薬剤師・薬局を推進するために累
次にわたる調剤報酬の改定を行っているが、調剤医療費の構造を踏まえると、かかりつけ機能の推進のほか、医薬品の
供給拠点として必要な体制維持も薬局にとって一層重要となっている。
(かかりつけ薬剤師の推進について)
• かかりつけ薬剤師指導料は一部の薬学管理料が算定できないが、かかりつけ薬剤師指導料を算定する薬剤師は、医療
機関等に対する情報提供、吸入指導やインスリンの手技の指導を多く実施している。
• 服薬管理指導料の特例(かかりつけ薬剤師と連携する他の薬剤師が対応した場合)について、算定する薬局数、
算定件数は限られており、連携する薬剤師は1名のみで、患者への事前の同意等が必要となる。
(薬局・薬剤師の夜間・休日対応について)
• 薬局における夜間・休日対応は、薬剤師の負担の大きさのほか、勤務人数に余裕がない、負担が偏る等の課題があった。
常勤換算薬剤師数が2人以下の薬局は全体の49%であるが、そのような薬局は夜間・休日対応ができない割合が高い。
• 夜間・休日対応など薬局の体制については、自局や所属するグループのホームページでの周知が多いが、地域の関係
者へのわかりやすい周知のために、地域の薬剤師会が必要な情報を管理して公表している取組もある。
(調剤後のフォローアップについて)
• 心不全、認知症、糖尿病など地域包括診療料の対象疾患について、診療所・病院からの薬局薬剤師によるフォローアッ
プのニーズが高い傾向にある。
• 心不全のフォローアップについては、第2期循環器対策推進基本計画において、かかりつけ薬剤師・薬局による服薬アド
ヒアランスの向上に資する薬学的管理・指導が取り組むべき施策とされており、医療機関と薬局が連携して患者フォロー
アップを実施し、再入院等の悪化を回避につなげる取組が行われている。
• 糖尿病治療薬のフォローアップについては、調剤後薬剤管理指導加算の対象となっている特定の薬剤の場合のみなら
ず、服薬アドヒアランスに関連する場合に薬剤師へフォローアップを指示する医療機関が多い。
• 60歳以上では電話でのフォローアップのニーズが高いが、60歳未満では電子メールやアプリなど情報通信機器を利用し
た様々な方法でのニーズが高い。
課題②
(保険薬局と保険医療機関等との連携について)
• 薬局と医療機関の連携において、患者の服薬状況等の情報提供を実施している薬局は多く、服薬情報提供料の算定件数は増加傾向である。
• 薬局から服薬情報に関する情報提供を受けたことがあると回答した診療所は約7割であり、「患者の服薬状況」や「残薬状況に関する情報」は薬局から受け取っている割合及び医師が希望する割合がともに高い一方、「副作用の発生状況」や「患者の服薬後のモニタリング状況」は医師の希望と実際に受け取っている割合に差がある。
• 入院時に薬局で患者の持参薬を整理することは、医療機関にとって持参薬に関する負担やリスクの軽減につながることがメリットとの回答が多い一方、実際に依頼する医療機関は約1割であり、薬局は依頼がないことの理由が多い。
• 介護支援専門員(ケアマネジャー)に対する情報提供は62%の薬局が実施しており、服薬状況の確認と残薬の整理及びそれに関連して服用が難しい場合の対応策などの情報を提供したことによって、利用者の服薬状況が改善している。
(重複投薬、ポリファーマシー及び残薬等への対応について(調剤料の見直しに伴う評価のあり方))
• 前回改定における調剤報酬の評価体系の見直しにより、調剤料を廃止し、薬剤調製料と処方内容の薬学的分析、調剤設計等に係る業務の評価として調剤管理料、調剤管理加算を新設した。
• 調剤管理加算を算定した患者の状況を調査したところ、約2割は処方医へ多剤投薬の解消に関する提案を実施し、そのうち約8割で多剤投与の解消につながったとの結果であった。また、調剤管理加算を算定した薬局においては、残薬解消や多剤投薬防止の取組が多く実施されていた。
• 調剤に係る業務のうち、自家製剤加算と嚥下困難者用製剤加算に関しては、算定要件が類似している一方で、例えば、出荷調整等により散剤が不足する場合に、代替として同一成分の錠剤を粉砕しても、いずれの加算も算定できない。
(医療用麻薬の提供提供体制について)
• がん患者だけでなく心不全等のがん以外の患者に対しても麻薬の調剤・薬学的管理を実施しており、通常の医薬品と異なり、不要となった麻薬の説明や回収も必要となる。
• 麻薬の調剤実績がある薬局、特に在宅対応を実施する薬局では麻薬の備蓄品目が多かった。このような薬局では、管理コスト、取り揃え、不動在庫を抱えるリスクなど備蓄体制の課題が多く挙げられた。
• 医療用麻薬の調剤において、希釈せずに無菌調製を行う場合、無菌製剤処理加算が算定できないが、そのような希釈しない無菌調製は、医療用麻薬の無菌調製のうち4分の1を超えている。