令和6年度調剤報酬改定に向けて考えること 2nd season その1

2023/08/02

2023年7月26日に開催された中医協総会では、議題の一つに「調剤について(その1) 」が取り上げられた。

全部で123枚に及ぶスライドの中に、薬局、薬剤師を取り巻く状況、調剤医療費の現況、そして調剤に係る診療報酬上の評価についての振り返りが詰め込まれている。

それだけあると、もはや何が重要かも分からくなってしまうが、最後の2枚だけでも目を通しておく必要があるだろう。


調剤についての課題 

(全体) 

・ 薬局における薬剤師の業務については、「患者のための薬局ビジョン」や改正薬機法に基づき、地域包括ケアシステムのもとで、医療機関等との連携、在宅医療への対応等も含む、かかりつけ薬剤師・薬局を推進するための取組が進みつつあるものの、地域において薬剤師が専門性を発揮して役割を果たすためには、引き続き、対物中心の業務から、患者・住民との関わりの度合いの高い対人業務へとシフトすることにより、薬物療法や健康維持・増進の支援に一層関わり、患者・住民を支えていくことが求められる。 

・ また、薬局は地域における医薬品の供給拠点としての役割を果たすべきであり、セルフケア・セルフメディケーションの取組など処方箋を持たなくても住民がアクセスできるような業務を行うことが求められている。 


(調剤医療費) 

・ 調剤医療費のうち、技術料は約2.0兆円であり、令和4年度に調剤報酬の評価体系の見直しを行い、調剤料の一部が薬学管理料に再編されたため、これまでの直接の比較はできないが、見直し後は薬学管理料の割合が約5割となっている。 

・ 見直しにより薬学管理料において新設された「調剤管理料」について、算定回数や総額は、調剤日数の区分が大きくなるほど多くなっており、29日分以上の区分が最も多い。 

調剤管理加算は、75歳以上での算定回数が最も多く、全体としては初めて処方箋を持参した場合と2回目以降に処方箋を持参した場合の算定割合は同等であった。 


(服薬指導・かかりつけ薬剤師) 

服薬指導管理料の算定状況では7割以上が3月以内に再度来局した患者であった。継続的服薬指導は、新しく薬剤を追加した際に多く実施されており、電話で実施する割合が多かった。指導を受けた患者は薬物治療の不安が解消されたり、意識が高まった人が多い。 

・ 継続的服薬指導を含め、個別の疾患領域においては地域において多職種との連携により、医療機関と薬局等との連携を充実させて患者を支えていく取組もある。また、患者への情報活用ツールとして医薬品リスク管理計画(RMP)に基づく詳細な説明資材を用いる場合もある。 

・ かかりつけ薬剤師指導料等の届出割合は増加傾向であり、患者年齢別にみると10歳未満、75歳以上で算定回数が多くなっている。かかりつけ薬剤師のいる患者は34%であり、薬の継続的な把握や丁寧な説明、薬の飲み合わせなどのチェック等がよかったとの意見であった。 

・ 服薬指導の概要は調剤録に記載することになっているが、調剤報酬上の薬剤服用歴等への記載を求める事項が多岐にわたっており、薬剤服用歴等への記載だけで残業する薬剤師は全体の約3割弱存在する。 


(重複投薬・多剤投与、残薬解消等に関する評価) 

・ 薬剤師により処方箋の疑義照会を行っているのは全体の2.6%であり、そのうち薬学的な疑義照会は8割を超えている。 

・ 残薬の解消に係る取組に係る評価の算定回数は増加傾向である。一包化に伴う服薬支援は全体の1/4で実施されており、75歳以上では半数以上となっている。 


(医療機関と薬局の連携等) 

・ 薬局が医療機関へ情報提供する割合は増加しており、医療機関に送付する服薬情報等提供料2の算定が令和3年度以降に特に増加している。情報共有を円滑に行うため、地域で統一様式を定めて取り組んでいる事例もある。一方で、医療機関が求める情報と薬局が提供する情報に差がある。 

・ 入院患者の退院時の薬局の関わりについては、退院時共同指導料の算定は少ないものの増加傾向にあり、令和4年度の調剤報酬改定により参加要件が見直されたことにより関与し始めたケースが認められ、算定薬局の4割でビデオ通話を用いて参加している。 


(薬局の体制に関する評価) 

・ これまでの大型門前薬局の見直しのほか、令和4年度改定では大規模グループ薬局の店舗数に応じた基本料の見直しを行った結果、新設された調剤基本料3ハの薬局は15%を超えており、調剤基本料1の薬局は約85%から約70%まで低下した。 

地域支援体制加算は38.2%の薬局で算定されており、新設された地域支援体制加算2(調剤基本料1の薬局で高い要件を満たす必要がある加算)は調剤基本料1を算定する薬局の21.5%が算定している。地域支援体制加算の算定薬局は、算定していない薬局と比較して医療用医薬品の備蓄品目が多い。 

連携強化加算の届出割合は24.2%であり、加算を算定している薬局の方が、より多くの施設で新型コロナウイルス感染症に係る対応が実施されていた。 

・ 敷地内薬局は、処方箋受付回数が多いものの、地域支援体制加算の届出割合は低かった。医療機関側からは連携していると認識されていない薬局も半数以上存在している。 

後発医薬品の調剤体制加算は、令和4年度改定で算定要件が引き上げられたが、届出数はほぼ変わらず全体の約7割であった。薬局での後発医薬品の使用割合は82.1%であった。 


論点 

○ 薬局・薬剤師が、対物中心の業務から患者・住民との関わりの度合いの高い対人業務へとシフトすることにより、患者・住民の薬物療法や健康維持・増進の支援に一層取り組む観点から、最近の診療報酬の各種算定状況も踏まえ、調剤報酬における評価のあり方について、どのように考えるか。 

○ かかりつけ薬剤師・薬局の取組の促進、多剤・重複投薬への取組、在宅の対応など、薬剤師が他職種と連携しつつ専門性を発揮して質の高い薬物療法を提供するために必要な対応に係る評価について、どのように考えるか。 

〇 薬局は立地に依存するのではなく、患者・住民のニーズに対応する機能を果たしつつ、地域における医薬品の供給拠点としての役割を発揮するため、周囲の薬局との連携も含め、薬局の体制に係る評価についてどのように考えるか。 


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