110番の回答(オンライン服薬指導専門薬局の構造規制)
2023/02/23
2月21日、「規制改革・行政改革ホットライン(縦割り110番)」で受け付けた提案及び所管省庁からの回答が更新、公表された。
新規で回答のあったもののうち厚生労働省が所管する回答に、「調剤外部委託の完全実現及びネット医薬品販売に特化した業態の容認」に対するものがあったので注目した。
検討要請日は本年1月24日となっており、回答取りまとめ日が2月16日ということで、まずは非常に速やかに対応がなされている点に驚きだ。
提案主体は「一般社団法人 日本IT団体連盟」という団体であり、規制で雁字搦めになっている保険医療業界に蟻の一穴を空けようという動きが様々な方面からあることが改めて分かった。
調剤外部委託の制約緩和、処方箋40枚規制については今年度中に何らかの動きがあるだろう。過去の通知(0402通知など)の発出タイミングを参考にすれば、3月下旬から4月上旬にかけた時期に期待だ。
オンライン服薬指導専門薬局に係る構造規制緩和ついては「対応不可」と明確な回答が示された。
▽以下、資料より一部抜粋
https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/hotline/h_index.html
〇提案の具体的内容
1. 調剤調製業務外部委託の実現:対象業務の過度な制約及び地域制限の撤廃
2. 「処方箋40枚/日につき薬剤師1名」という配置規制の撤廃
3. オンラインに特化した業態の容認:対面機能を持たない薬局・店舗の容認(薬局における調剤室・待合室基準の緩和、店舗における医薬品陳列ルールの緩和、保険薬局における「公道に面する」規制の緩和営業時間の義務
〇提案理由
処方薬の服薬指導・調剤・販売を同一薬局の薬剤師のみに行わせる規制や、「1日あたり処方箋40枚につき薬剤師1名」という配置規制は、薬剤師の「対物」から「対人」業務シフトを制約するため、こうした規制の改革が求められている。
薬剤の調製業務の外部委託解禁にあたり、厚労省は、対象業務は一包化のみ、委託先は同一都府県内等の多くの制約を示しているが、中小薬局の在庫管理適正化や業務効率の向上・調剤ミスの防止等のメリットを生かすためにはこうした制約を設けるべきではない。
併せて、薬局DXを妨げている対面販売・服薬指導を前提とした構造規制等を改めることで、薬局DXを妨げる要因を取り除き、オンライン完結できる仕組みを導入すべきである。
〇提案主体
一般社団法人 日本IT団体連盟
〇所管省庁の検討結果
1.2.は検討に着手(済み)
1.2.薬局における対人業務の充実のための調剤業務の取扱いについては、「患者への服薬フォローアップなど薬剤師の高度な薬学的な専門性をいかす対人業務を円滑に行い得る環境を整備するとともに、調剤の安全性・効率性の向上を図る観点から、薬局における調剤業務のうち、一定の薬剤に関する調製業務を、患者の意向やニーズを尊重しつつ、当該薬局の判断により外部に委託して実施することを可能とする方向で、その際の安全確保のために委託元や委託先が満たすべき基準、委託先への監督体制などの技術的詳細を検討する。(令和4年度検討・結論)」
「調剤業務の機械化や技術発展による安全性及び効率性の向上を踏まえ、薬剤師の対人業務を強化する観点から、規制の在り方の見直しに向け、課題を整理する(令和4年度措置)」(「規制改革実施計画」(令和4年6月7日閣議決定))
こととしております。
3.対応不可
薬局医薬品については、医療において用いられることを前提としていることから、処方箋に基づく薬剤の交付を原則としており、一定の条件の下、オンライン診療及びオンライン服薬指導を行った上で、調剤した薬剤を配送等することは可能です。
一般用医薬品については、施行規則第1条第2項第2号に規定する特定販売によりインターネットにより販売することは可能です。
なお、服薬指導及び情報提供は、薬剤師や登録販売者の判断でオンラインで実施可否を判断することになるため、オンラインでの実施に支障が生じた際の緊急時の対応を含め、当該薬局で対面で服薬指導ができることを担保しておくことが患者の医療安全を確保する上で必要です。