厚生局データと医療経済実態調査をクロス分析!? その③

  2022/05/02

調剤基本料区分を地域支援体制加算の届出有無で細分化し、5つの加算等(※)の届出件数を集計した。更に、令和3年度の医療経済実態調査から得られた開設主体別の損益率を右端に追加することで、何らかの分析を試みることにした。

医療経済実態調査では、個人、法人それぞれの損益率と全体のそれとを調剤基本料区分別に調査している。

まずは法人の損益率を見ると、基本料3ロの区分が8.8%と最も高く、基本料1の6.4%、そして基本料2の5.1%と続く。ちなみに、同調査では当然のことながら私の事情を考慮してくれたものではないため、地域支援体制加算の届出条件は除外して、調剤基本料区分に該当する損益率を当てはめた。

例外的な特別調剤基本料を無視して考えると、法人の損益率は、基本料3ロ(地域支援体制加算あり・なし)>基本料1(地域支援体制加算あり)>基本料3イ(地域支援体制加算あり・なし)>基本料2(地域支援体制加算あり・なし)となる。

基本料1以外に課された地域支援体制加算の実績要件を並大抵ならぬ努力でクリアした基本料3ロ(地域支援体制加算あり)、基本料3イ(地域支援体制加算あり)、基本料2(地域支援体制加算あり)は、薬局機能面の強化の結果として高い損益率を確保できたものと分析することができる。

ちなみに、個人による開設店舗では10.2%と見かけ上は最も高い損益率ではあるが、法人との合計値を見ると著しく縮小している。法人と個人との間で、1店舗ごとの損益金額の規模に大きな差があるということだろう。だとすれば、調剤基本料1については開設主体の種別に加えて、地域支援体制加算の有無次第では、更に大きな格差が生まれている可能性が示唆される。

つづく

★データの集計方法について

  1. 厚生局データは2021年3月1日時点のものを用いている
  2. 調剤基本料に加えて域支援体制加算の届出有無によって細分化し、それぞれの区分ごとの薬局軒数を集計した
  3. その区分ごとに、5つの加算等(※)の届出件数を合計するとともに平均値を導いた
  4. 次に、令和3年度に実施された医療経済実態調査より得られた経営主体別の損益率を追加した

  ※かかりつけ薬剤師指導料等、在宅患者訪問薬剤管理指導、無菌製剤処理加算、特定薬剤管理指導加算2、オンライン服薬指導料



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