オンライン診療拡大への警戒心
2021/10/28
今週始め、日本経済新聞の朝刊になかなか際どいタイトルの記事が掲載された。
「ネット診療やりたくない 報酬低く「登録だけ」の開業医、医療費改革遠く」
記事中では、医療機関が対面診療からオンライン診療へシフトした際の収支の変化や、オンライン診療を取り巻く対立構造など、実情を的確に捉えた論調が繰り広げられている。
オンライン診療は、それを支えるシステムのインフラに国内の巨大通信事業者がいるだけに、日本経済新聞にとっては看過することのできないテーマなのだろう。
オンライン診療の普及を阻害する要因の一つが、通常診療との報酬格差にあることは確かだろう。しかし、それだけではなく、仕組み自体の問題や、患者サイドのリテラシーにも課題はある。
そして、もう一つ、過度なオンライン診療の普及を警戒する勢力が気にかかっているのは、米国において拡大しているような薬局・ドラッグストアによる医療機関への投資や運営モデルの国内展開と考えている。
例えば、米国の巨大ドラッグストアチェーンである、ウォルグリーンのアプリを開けば、オンライン診療が可能なクリニックの一覧が表示される。患者はそこからオンライン診療の予約を取り、診察を受け、処方薬はウォルグリーンのオンライン服薬指導、配達サービスを利用する。非常に便利なビジネスモデルが確立されているのである。
この傾向は今後さらに強まるだろう。なぜならば、薬局やドラッグストアチェーンによる医療機関への出資は拡大しているからだ。
「Walgreens Boots Alliance Makes $5.2 Billion Investment in VillageMD to Deliver Value-Based Primary Care to Communities Across America」2021年10月21日リリースより