ヤバイよ、製薬企業のMR 〜CHUGAI RPA〜
2021/06/29
6月25日、中外製薬はメディア向け説明会として「中外製薬 DXメディアセミナー」と題して、同社のTOP I 2030とCHUGAI DIGITAL VISION 2030、デジタル基盤強化に向けた3つの取り組みについて講演した。
報道関係者でも何でもない、なんちゃって医療業界ブロガーの私がそのような場に出向けるはずはなく、おおよその内容は業界紙を通して知る以外にない。そう思って、ミクスOnlineの記事「中外製薬 定型業務のAI化等で21年は5万時間、23年は10万時間の業務削減達成へ「DX2030の絵姿」」を読んでいると、非常に気になる表現が目に留まった。
「20年は、コロナ禍のテレワークを実現するなどデジタルワークプレイスの環境整備と働き方改革が牽引し、3.5万時間の業務削減を達成した。21年以降も「CHUGAI RPA」(Reconsider Productive Approach)と題し、AI(人工知能)等を活用した業務シナリオの自動化を全社的に推進する方針だ。」(ミクスOnline 2021/06/28より)
RPAという見慣れた略語の後には、Reconsider Productive Approachという想定外の単語が並んでいるではないか。本来ならば、RPAはRobotic Process Automationの略語であるところを、敢えてReconsider Productive Approachと再定義しているあたり、意味深げな思惑を感じた。その中身が気になり、中外製薬のホームページに飛んでみると、なんとプレゼンで用いられたスライドが公開されているではないか。
PDFファイルに注意深く目を通してみると、その答えはスライド39にあった。
中外製薬のRPAとは、「ロボットを開発する前に、現在の作業内容や作業手順を見直すことから始める」ことであり、(本来の)RPAやAIよりもまずは業務自体を見直したまへというキーメッセージが込められている。つまり、CHUGAI RPAが再定義するReconsider Productive Approachは、製薬企業の中でも早期からデジタル化に取組んできた同社ならではの教訓の表れであり、AIブームに踊らされない地に足のついたDX戦略の根幹となると感がる。
もちろん、MR関連業務も蚊帳の外ではないはずだ。MRがすべきことは、RPAによって自動化できる部分、AIによって拡張できる要素、その他ヒューマンスキルに係るところをそれぞれ切り出しながら、自分自身の業務を見直す必要がありそうだ。