0831改正薬機法施行通知(投薬後フォロー、指導の記録、薬局製造医薬品)


薬生 発0831第20号   令和2年8月31日

医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律の施行に伴う関係省令の整備等に関する省令の公布について

1 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則(昭和 36 年厚生省令第1号)の一部改正

 

(1)薬局、店舗販売業に係る改正

①継続的服薬指導等

・ 改正法第1条の規定による改正後の医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和 35 年法律第 145 号。以下「法」という。)第9条の3第5項又は第 36 条の4第5項の規定による情報の提供又は指導(以下「継続的服薬指導等」という。)を行うべき場合として、調剤された薬剤又は薬局医薬品の適正な使用のため、情報の提供又は指導を行う必要があるとその薬局において薬剤又は医薬品の販売又は授与に従事する薬剤師が認める場合を定める(第 15 条の 14 の2第1項及び第 158条の9の2第1項関係)。

・ 薬局開設者は、継続的服薬指導等を、次に掲げる方法により、その薬局において薬剤又は医薬品の販売又は授与に従事する薬剤師に行わせなければならないこととする(第 15 条の 14 の2第3項及び第 158 条の9の2第3項関係)。

ア 当該薬剤又は当該薬局医薬品の使用に当たり保健衛生上の危害の発生を防止するために必要な事項について説明を行わせること。

イ 当該薬剤又は当該薬局医薬品の用法、用量、使用上の注意、当該薬剤又は当該薬局医薬品と併用を避けるべき医薬品その他の当該薬剤又は当該薬局医薬品の適正な使用のために必要な情報を、当該薬剤又は当該薬局医薬品を購入し、又は譲り受けた者の状況に応じて個別に提供させ、又は必要な指導を行わせること。

ウ 当該薬剤又は当該薬局医薬品を使用しようとする者が手帳(「患者の薬剤服用歴その他の情報を一元的かつ経時的に管理できる手帳」をいう。以下同じ。)を所持しない場合はその所持を勧奨し、所持する場合は、必要に応じ、活用することを定めること。

エ 当該情報の提供又は指導を行った薬剤師の氏名を伝えさせること。

オ 薬局医薬品の情報の提供又は指導の際、必要に応じて、当該薬局医薬品に代えて他の医薬品の使用、医師又は歯科医師の診断を受けることを勧めさせること。

・ 薬局開設者は、その薬局において薬剤又は医薬品の販売又は授与に従事する薬剤師が継続的服薬指導等を行うため必要があると認めるときは、当該薬剤又は当該薬局医薬品を購入し、又は譲り受けようとする者の連絡先を確認した後に、当該薬剤又は当該薬局医薬品を販売し、又は授与させることとする(第 15 条の 12 及び第 158 条の7関係)。

・ 薬局製造販売医薬品(毒薬及び劇薬であるものを除く。以下同じ。)について、継続的服薬指導等の対象から除かれることに伴う規定の整備を行うとともに、一般用医薬品と同様、調剤室の外に陳列することができることとする(第 14 条の2、第 14 条の3及び第 158 条の 10 関係)。

②継続的服薬指導等の際に確認すべき事項

・ 継続的服薬指導等を行うべき場合に把握すべき患者情報として、薬剤又は薬局医薬品の販売又は授与時の確認事項のほか、当該薬剤又は当該薬局医薬品の服薬状況及び服薬中の体調の変化を定める(第 15 条の 14 の2第2項及び第 158 条の9の2第2項関係)。

③薬剤に係る情報提供及び服薬指導の記録事項

・ 薬局開設者が、薬剤師に、薬剤に係る情報の提供及び指導の際に記録させなければならない事項として、情報の提供及び指導を行った年月日、当該情報の提供及び指導の内容の要点、当該情報の提供及び指導を行った薬剤師の氏名並びに情報の提供及び指導を受けた者の氏名及び年齢を定めるとともに、これらの記録を、その記入の日から3年間保存しなければならないこととする(第 15 条の 14 の3関係)。

④その他

・ 要指導医薬品の情報の提供及び指導の際、当該要指導医薬品を使用しようとする者が手帳を所持しない場合はその所持を勧奨し、所持する場合は、必要に応じ、手帳を活用することを定める(第 158 条の 12 及び第 159 条関係)。

・ 一般用医薬品の情報の提供の際、当該一般用医薬品を使用しようとする者が手帳を所持する場合は、必要に応じ、手帳を活用することを定める(第159 条の 15~第 159 条の 17 関係)。

・ 薬局機能情報提供制度における薬局開設者の報告事項に関して、別表第1第2の項第1号の(3)(ⅷ)の項目を、「薬剤情報を記載するための手帳」から「患者の薬剤服用歴その他の情報を一元的かつ経時的に管理できる手帳」に変更する。なお、今回の変更の施行後においても、薬局機能情報提供制度等において従前の記載を用いることは差し支えないこと(別表第1関係)。

・ 薬局における掲示事項のうち、別表第1の2第2の項について、「要指導医薬品及び一般用医薬品の販売に関する制度に関する事項」を「薬局製造販売医薬品、要指導医薬品及び一般用医薬品の販売に関する制度に関する事項」に変更し、薬局製造販売医薬品を調剤室以外の場所に陳列する場合は、薬局製造販売医薬品の定義及びこれに関する解説並びに表示、情報の提供及び陳列(特定販売を行うことについて広告をする場合は、当該広告における表示。)に関する解説を掲示する(別表第1の2関係)。

・ 薬局における特定販売の方法等のうち、別表第1の3第2号に掲げる「一般用医薬品の陳列の状況に示す写真」を「薬局製造販売医薬品又は一般用医薬品の陳列の状況に示す写真」に変更する(別表第1の3関係)。

(2)審査制度、治験制度等に係る改正

・ 医療上必要性が高い医薬品について、有効性及び安全性を検証するための十分な人数を対象とする臨床試験の実施が困難であるとき又はその実施に相当の時間を要すると判断されるときは医薬品の承認に必要な臨床試験の試験成績に関する一部の資料を要しないこととすることができる(条件付き承認)こととし、承認の申請に係る医薬品の有効性及び安全性を評価することが可能な臨床試験の成績又はこれに代わる資料が存在しないときはこの限りではないこととする。その他付随する手続等を規定する(医療機器・体外診断用医薬品(以下「医療機器等」という。)も同趣旨の改正。)

(第 40 条第2項、第 45 条の2から第 45 条の 7 まで、第 54 条、第 114 条の 19 第2項、第 114 条の 22 の2から第 114 条の 22 の7まで関係)。

・ 医薬品の安全性定期報告の時期を厚生労働大臣が指定した日から2年間は半年以内ごととし、それ以降は1年以内ごととすることを規定する(再生医療等製品については再生医療等製品の製造販売の承認を受けた日から1年以内ごととする)(第 63 条及び第 137 条の 43 関係)。

・ 従来官報掲載していた再評価対象品目、登録認証機関の登録状況、日本薬局方、希少疾病用医薬品、希少疾病用医療機器及び希少疾病用再生医療等製品等の指定状況並びに原薬等登録原簿の登録状況についての公示方法を明確化するととともに、その一部について、ホームページ掲載による公示を行うことを規定する(第 66 条の2、第 136 条の2、第 137 条の 46 の2、第 196 条の 14、第 253 条及び第 280 条の 13 の2関係)。

・ 医療機器等の変更計画の確認の申請手続、確認を受けることができる変更として使用目的、使用方法、保管方法、有効期間、製造方法等の変更を規定する(第 114 条の 45 の2から第 114 条の 45 の5まで)。

・ 医療機器等の変更計画の確認における基準適合性確認(以下「医療機器等変更計画適合性確認)という。)を受けなければならない場合として第 114 条の 25 及び第 114 条の 31 に規定する変更以外の変更であってアからウまでのいずれかに該当するもの(法第 23 条の2の5第 15 項の承認申請を行う場合を除く。)を規定する(第 114 条の 45 の6関係)。

ア 法第 23 条の2の5第8項各号に該当する変更以外の変更

イ 法第 23 条の2の5第9項の規定による調査が必要とされている場合として第 114 条の 33 各号に列挙されている事項に係る変更

ウ その他厚生労働大臣が必要と認める場合

・ 変更計画の一部の変更が軽微な変更である時は、法第 23 条の2の 10 の2第1項の変更計画の変更の確認を届け出ることが出来ることを規定する(第 114 条の 45 の7関係)。

・ 医療機器等変更計画適合性確認の申請手続等を規定する(第 114 条の 45- 5 -の9及び第 114 条の 45 の 10 関係)。

・ 変更計画に従った変更を届出により行うことが可能な範囲等を規定する(第 114 条の 45 の 12 から第 114 条の 45 の 14 まで関係)。

・ 先駆的医薬品、先駆的医療機器及び先駆的再生医療等製品等の指定の申請手続を規定する(第 251 条の2及び第 251 条の3関係)。

・ 需要が著しく充足されていない医薬品、医療機器及び再生医療等製品の区分を指定する(第 251 条の4関係)。

・ 試験研究を促進するための資金の確保及び税制上の措置の対象となる特定用途医薬品、特定用途医療機器及び特定用途再生医療等製品は、その用途に係る対象者が本邦において5万人未満のものとする(第 251 条の5及び第 251 条の6関係)。

・ 治験を実施する者等が副作用報告を行う必要がある、治験において用いる薬物等の報告の対象を拡大する(第 269 条から第 275 条の4まで関係)。

・ 医薬品の製造販売業者等による医薬品等の適正な使用のために必要な情報収集に協力するよう努める者として、医学医術に関する学術団体、診療又は調剤に関する学識経験者の団体、大学及び医療分野の研究開発に資する業務を行う独立行政法人を規定する(第 228 条の 10 の2関係)。

(3)承認等を受けないで行われる医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器等 (以下「医薬品等」という。)の輸入に係る確認(以下「輸入確認」という。)

制度の創設に係る改正

・ 輸入確認に係る申請書の記載事項、様式を規定するとともに、申請書に添付する書類について、「医薬品等及び毒劇物輸入監視要領について」(平成 27 年 11 月 30 日付け薬生発 1130 第1号厚生労働省医薬・生活衛生局長通知。以下「要領」という。)における取扱いを踏襲し、以下のとおり規定する。(第 218 条の2の2関係)

ア 医薬品等の仕入書の写し

イ 医薬品等の輸入に係る船荷証券、航空運送状等の写しウ 輸入の目的に応じて求める書類(例:個人的使用に供する目的での輸入にあっては、医師の処方箋又は指示書。医師等が治療等の目的で輸入する場合にあっては、医師免許証等の写し及び当該医薬品等の使用が必要な理由を記載した書類。)

・ 厚生労働大臣が輸入確認をしない場合につき、以下のとおり規定する。(第 218 条の2の3関係)

ア 個人的使用に供せられ、かつ、売買の対象とならないと認められる程度の数量を超える数量の医薬品等の輸入を行う場合

イ 医師、歯科医師その他の医療従事者が、疾病の診断、治療又は予防等の目的で使用するために医薬品等を輸入する必要があると認められない場合

ウ 臨床試験その他の試験研究の用に供する目的で医薬品等を輸入する必要があると認められない場合

エ 医薬品等の研究開発及び普及並びに学術研究の発展に資することを目的とした展示会、見本市その他の催しにおいて展示する目的で医薬品等を輸入する必要があると認められない場合

オ 外国に輸出した医薬品等を輸入する必要があると認められない場合

カ アからオまでに掲げる場合に準ずる場合

・ 厚生労働大臣による輸入確認を要しない数量につき、要領における取扱いを踏襲して規定する。(例:外用剤にあっては 24 個以下。毒薬、劇薬及び処方箋医薬品に準ずるものにあっては 1 ヶ月の使用数量以下。上記以外の医薬品にあっては2ヶ月の使用数量以下。)(第 218 条の2の4第1項関係)

・ 厚生労働大臣による輸入確認を要しない場合につき、以下のとおり規定する。(第 218 条の2の4第2項関係)

ア 申請者が自ら使用する目的で輸入する場合であって、輸入確認を要しない数量以下の医薬品等(数量にかかわらずその使用目的を確認する必要があるものを除く。)を携帯して輸入し、又は申請者がその住所地で医薬品等を受け取る場合

イ 医薬品等の製造販売承認等を行った者が、当該承認等の申請に係る医薬品等を輸入する場合

ウ 医薬品等の輸入が、法令に違反して販売、貸与又は授与を行うおそれがないものであることが明らかな場合

2 薬局等構造設備規則(昭和 36 年厚生省令第2号)の一部改正薬局製造販売医薬品、要指導医薬品又は一般用医薬品を販売し、又は授与する薬局にあっては、開店時間のうち、薬局製造販売医薬品、要指導医薬品又は一般用医薬品を販売し、又は授与しない時間がある場合には、薬局製造販売医薬品、要指導医薬品又は一般用医薬品を通常陳列し、又は交付する場所を閉鎖できる構造のものであることとする(第1条第1項第6号関係)。

また、薬局製造販売医薬品を販売し、又は授与する薬局の構造設備の基準は、次に定めるところに適合するものであることとする(第1条第1項第 10号の2関係)。

ア 薬局製造販売医薬品を陳列するために必要な陳列棚その他の設備(以下「陳列設備」という。)を有すること。

イ 薬局製造販売医薬品を陳列する陳列設備から 1.2 メートル以内の範囲(以下「薬局製造販売医薬品陳列区画」という。)に医薬品の購入者等が進入することができないよう必要な措置が採られていること。ただし、薬局製造販売医薬品を陳列しない場合又は鍵をかけた陳列設備その他医薬品の購入者等が直接手の触れられない陳列設備に陳列する場合は、この限りでない。

ウ 開店時間のうち、薬局製造販売医薬品を販売し、又は授与しない時間がある場合には、薬局製造販売医薬品陳列区画を閉鎖することができる構造のものであること。

3 麻薬及び向精神薬取締法施行規則(昭和 28 年厚生省令第 14 号)の一部改正

麻薬取締官等による模造医薬品等の捜査につき、捜査対象に該当するか否かの判断基準を「物品に係る名称、形状、容器、包装、表示又は陳列若しくは広告の方法」と定める。(第 47 条の2関係)

4 安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律施行規則(昭和 31 年厚生省令第 22 号)の一部改正

・ 献血推進計画作成のための採血事業者等の届出事項に関する規定を新設する(第3条の2関係)。

・ 医療の質又は保健衛生の向上に資する物として、医薬品等の研究開発に用いる物、疾病の原因に関する研究等に用いる物及び血液学的検査等の精度を適正に保つために用いる物を規定する(第4条の2関係)。

・ 採血業の許可申請書類として採血基準書の案、業務開始後2年間の事業計画の案等を追加する(第6条関係)。

・ 採血業の許可について、採血所ごとではなく、事業者ごとに与えることに伴い、採血業の変更届出事項、採血業の休廃止に関する規定を改める(第7条及び第8条)。

・ 採血責任者の設置及び遵守事項に関する規定を新設する(第 12 条の2及び第 12 条の3関係)。

・ 医療の質又は保健衛生の向上に資する物等の原料とする目的で採血する者が講じなければならない措置として、献血者等の同意取得、必要最小限の採血量とすること、採血によって健康が害された献血者等を適切に処遇する体制の整備を規定する(第 14 条の2関係)。

・ 原料血漿の製造業者が行う需給計画の実績報告書の記載事項を規定する(第 18 条関係)。

5 薬剤師法施行規則(昭和 36 年厚生省令第5号)の一部改正

調剤録の記入事項として、調剤時及び調剤後の情報の提供及び指導を行った年月日、薬剤師の氏名及び当該情報の提供及び指導の内容の要点を加える(第16 条関係)。

6 その他所要の規定の整備を行う。

第3 施行期日

改正法の施行の日(令和2年9月1日)から施行する。

第4 経過措置等

1 改正省令附則第4条の厚生労働省医薬・生活衛生局長が別に定める様式は、別添2に掲げる様式とする。なお、本通知をもって、要領は廃止する。

2 希少疾病用医薬品、希少疾病用医療機器及び希少疾病用再生医療等製品の指定に関する取扱いについては、「希少疾病用医薬品等の指定に関する取扱いについて」(平成 27 年4月1日薬食発第 0401 第 11 号厚生労働省医薬食品局長通知)により示してきたところであるが、改正省令の施行に伴い廃止する。改正法の施行の日以後、この取扱いについては「希少疾病用医薬品等の指定に関する取扱いについて」(令和2年8月 31 日付け薬生薬審発 0831 第7号・薬生機審発 0831 第7号厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長・医療機器審査管理課長連名通知)によることとする。

3 「第3 施行期日」前に厚生労働省医薬・生活衛生局が発出した通知であって、改正法等による改正前の条項を引用しているものにあっては、特段の定めのない限り、別添3のとおり改正後の条項に読み替えることとする。

人気の投稿