骨太方針2020より、オンライン、遠隔、薬価のキーワードに迫る

020/07/20

「経済財政運営と改革の基本方針 2020~危機の克服、そして新しい未来へ~
(令和2年7月 17 日)」より、オンライン、遠隔、薬価というキーワードが含まれる文章を抜き出してみた。

デジタル化、オンライン化が待ったなしで進む。データ一元化と、オンラインによる遠隔〇〇が拡大すれば、産業構造、我々の生活様式は一変する。

時代、世相が変われば、仕事も変わるのだ。安定は衰退、変化は成長だ。


《オンライン》 (医療関連)
〇社会保障については、感染症対策により医療・介護システムの課題として認識された、柔軟で強靱な医療提供体制の構築、デジタル化・オンライン化を実現する。
〇新しい生活様式の中、遠隔教育、オンライン及び電話による診療・服薬指導について、利用者を含めた多様な関係者の意見を踏まえつつ、検証を進めていく。
オンライン診療について、電子処方箋、オンライン服薬指導、薬剤配送によって、診察から薬剤の受取までオンラインで完結する仕組みを構築する。
〇感染症、災害、救急等の対応に万全を期すためにも、医療・介護分野におけるデータ利活用やオンライン化を加速し、PHRの拡充も含めたデータヘルス改革を推進する。
〇被保険者番号の個人単位化とオンライン資格確認の導入のための「保健医療データプラットフォーム」を2020 年度に本格運用を開始するとともに、患者の保健医療情報を患者本人や全国の医療機関等で確認できる仕組みに関し、特定健診情報は2020 年度中に、レセプトに基づく薬剤情報については2021 年中に稼働させ、さらに手術等の情報についても2022 年中に稼働させる。
オンライン診療等の時限的措置の効果や課題等の検証について、受診者を含めた関係者の意見を聞きエビデンスを見える化しつつ、オンライン診療や電子処方箋の発行に要するシステムの普及促進を含め、実施の際の適切なルールを検討する。
〇新たな技術を活用した血液検査などの実用化を含め、負荷の低い健診に向けた健診内容の見直し・簡素化等を前倒しするとともに、オンラインでの健康相談の活用を推進する。


《遠隔》 (医療関連)
〇今回の感染症拡大に伴い人の移動に制約があった中で、テレワークや遠隔診療・遠隔教育などリモートサービスの活用・定着が進み始めたことは、国民の意識変化につながっており、働き方を変えたり地方移住を前向きに考えるという気運が増している。
〇医師による遠隔健康相談について、既存事業の検証を行いつつ、効果的な活用を図る。


《薬価》
〇また、本年の薬価調査を踏まえて行う2021 年度の薬価改定については、骨太方針2018 等の内容に新型コロナウイルス感染症による影響も勘案して、十分に検討し、決定する。


《マイナンバー》
〇さらに、マイナンバーカード普及やそのためのシステム・体制の充実を図りつつ、マイナポイントを活用した消費活性化策を着実に実施すること等により消費を下支えする。
〇今回の感染症対応において、マイナンバーシステムをはじめ行政の情報システムが国民が安心して簡単に利用する視点で十分に構築されていなかったことや、国・地方自治体を通じて情報システムや業務プロセスがバラバラで、地域・組織間で横断的にデータも十分に活用できないなど、様々な課題が明らかになった。
〇また、行政のデジタル化の集中改革を強力に推進するため、内閣官房に民間専門家と関係府省庁を含む新たな司令塔機能を構築し、マイナンバー制度と国・地方を通じたデジタル基盤の在り方、来年度予算・政策等への反映を含め、抜本的な改善を図るため、工程を具体化する。
〇デジタル・ガバメントの基盤となるマイナンバー制度について、行政手続をオンラインで完結させることを大原則として、国民にとって使い勝手の良いものに作り変えるため、抜本的な対策を講ずる。
〇関係府省庁は、PHRの拡充を図るため、2021 年に必要な法制上の対応を行い、2022年を目途に、マイナンバーカードを活用して、生まれてから職場等、生涯にわたる健康データを一覧性をもって提供できるよう取り組むとともに、当該データの医療・介護研究等への活用の在り方について検討する。
マイナンバーカードの公的個人認証の活用により障害者割引適用の際に障害者手帳の提示が不要とできるよう、デジタル対応を推進する。
〇また、e-Tax 等について、自動入力できる情報(医療費、公金振込口座等)を順次拡大し、マイナンバーカードの利便性を向上させる。
〇在留カードとマイナンバーカードとの一体化について検討を進め、2021 年中に結論を得る。また、運転免許証について、海外の事例を踏まえつつ、発行手続やシステム連携の在り方等を含めた検討を開始する。あわせて、自動車検査証及び自動車検査登録手続についても、マイナンバーカードを活用した手続の一層のデジタル化の推進に向けて、検討を開始する。この他、各種免許・国家資格、教育等におけるマイナンバー制度の利活用について検討する。必要に応じて共通機能をクラウド上に構築する。
〇これらの取組と併せて、マイナポイントを活用した消費活性化策の実施、QRコード付きのカード申請書の再送付など、マイナンバーカードの手続ができる環境を抜本的に拡充することにより、マイナンバーカードの実効性ある取得促進のスケジュールをできる限り加速する。
〇さらに、関係府省庁は、マイナンバー制度及び国・地方を通じたデジタル基盤の構築に向け、地方自治体の業務システムの早急な統一・標準化を含め、抜本的な改善を図るため、年内に工程を具体化するとともに、できるものから実行に移していく。


《オンライン》 (医療関連以外)
〇今般の感染症対応策の実施を通じて、受給申請手続・支給作業の一部で遅れや混乱が生じるなど、特に行政分野でのデジタル化・オンライン化の遅れが明らかになった。
〇我が国社会全体のデジタル化を強力に推進する。まずは、デジタル・ガバメントの構築を、早急に対応が求められる、言わば一丁目一番地の最優先政策課題として位置付け、行政手続のオンライン化やワンストップ・ワンスオンリー化など取組を加速する。
〇テレワーク促進と合わせ、在宅等で学べるオンラインコンテンツの開発など「新たな日常」に対応したリカレント教育の充実を進める。
〇売上が急減した中堅企業や中小・小規模事業者、個人事業主に対し、固定費の負担軽減に資する持続化給付金や家賃支援給付金については、事業実施体制に係る丁寧な説明責任を果たしつつ、オンライン申請の下、万全の審査・サポート体制により、できる限り迅速な支給に努める。
〇単にオンライン化等を目的とするのではなく、
データの蓄積・共有・分析に基づく不断の行政サービスの質の向上こそが行政のデジタル化の真の目的である。民間の人材・技術・知恵を取り入れ、徹底した見直しを行い、ベンダーロックインを避け、オープンアーキテクチャを活用し、個人情報の保護を徹底し国民の理解を得つつ、利用者目線に立ちデジタル化・オンライン化を前提とする政策システムへの転換を進める。
〇行政手続のオンライン化、ワンストップ・ワンスオンリー化を抜本的に進める。関係府省庁は、今般の感染症対応における各種支援策のオンラインによる申請・支給状況を点検し、原則として対面や押印の不要化、申請書類の可能な限りの縮減、法人データ連携基盤(Gビズコネクト)による情報連携等を加速する。
〇国が整備したマイナポータル・ぴったりサービスを原則として全ての市町村が活用してオンライン化を進めることができるよう導入を早急に促進するとともに、さらに地方自治体のAI・RPA活用の好事例を国が横展開する。
〇我が国のデジタル化、オンライン化の遅れを取り戻し、「新たな日常」を定着・加速させるため、この1年で集中的に規制改革に取り組む。このため、「規制改革実施計画」を着実に推進するとともに、デジタル時代に向けてこれまでの規制・制度を総合的に点検する。
〇行政手続について、所管省庁が大胆にオンライン利用率を引き上げる目標を設定し、利用率向上に取り組み、目標に基づき進捗管理を行う。
〇魅力ある学びの場と地域産業を地方に創り、若者の地方定着を推進するため、理工系の女性を含むSTEAM人材の育成等に必要な、地方国立大学を含めた定員増や地域雇用向けの地元枠の設定、若手・実務家教員の別枠定員での登用、大学間のオンライン教育での連携等、魅力的な地方大学の実現等のための改革パッケージを年内に策定する。
〇海外渡航が困難な中堅・中小企業の急増を踏まえ、JETROにおけるオンライン商談支援や越境ECなどのデジタル化の取組を進め、非対面・遠隔での海外展開を推進する。
〇感染症による学校の臨時休業により、公教育のオンライン対応の遅れが顕著になり、学びを止めないことが課題となった。
〇デジタル教科書・教材・コンテンツの開発・活用、外部人材の拡充・ネットワーク化等を通じ、国・地方が一体となってGIGAスクール構想を加速し、児童生徒1人1台端末、必要な通信環境の整備、効果的な遠隔・オンライン教育を早期に実現する。
〇STEAM人材の育成に向けて、教育・研究環境のデジタル化・リモート化、研究施設の整備、国内外の大学や企業とも連携した遠隔・オンライン教育を推進するとともに、データサイエンス教育や統計学に関する専門教員の早期育成体制等を整備する。
〇遠隔・オンライン学習、働く個人向けの教育訓練給付や事業主向けの人材開発支援助成金の活用、大学等によるプログラムの拡充も進めながら、例えば40 歳を視野にキャリアの棚卸しを行うことにも資するよう、いくつになっても再チャレンジできるリカレント教育を全国的に推進する。
〇NPO法に基づく各種事務のオンライン化の促進を含め、NPO法人が活動しやすい環境を整備するとともに、社会的事業の活性化や官民連携による協働の促進を図る。

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