ヤバイよ、製薬会社のMR⑫

2020/02/10

様々な局面で薬剤の絞込みが始まっている。

既に長期収載品となった薬剤が有効性の高い新薬に取って代わられるケースや、逆に製薬企業にとって待望の新薬が医療機関の使用リストに載らず長期収載品が継続的に処方されることもあるだろう。

さらには、新発売から数年しか経過していない製品を、製薬企業自らが手放すという事態も既に現実となっている。その際のキーワードには、事業領域の最適化や特化、研究開発力が挙げられる。

去る2月3日、「2型糖尿病治療薬「マリゼブ®」の販売移管に関するお知らせ」というプレスリリースがキッセイ薬品ホームページにアップされた。MSDが製造販売している2型糖尿病治療薬「マリゼブⓇ錠25mg/12.5mg(一般名:オマリグリプチン)」について、2020年4月よりキッセイ薬品に販売移管することが決定したという内容だ。

MSDはジャヌビア錠というマリゼブ錠と同種同効薬を販売している。マリゼブ錠をキッセイ薬品に販売移管するということは、ジャヌビア錠を残してマリゼブ錠を切るということを意味する。

DPP4阻害薬という分類には既に9成分が上市されており、降圧剤のARB戦国時代以上の激戦が繰り広げられている異常事態となっている。新薬上市後まだ5年ほどしか経過していないマリゼブ錠よりも、単一成分の特許切れが近づいているジャヌビア錠を選択し、ヒト・モノ・カネを投下するMSDの判断は、様々な局面で薬剤の絞込みが始まっている医薬品業界の混迷を浮き彫りにしている。

フォーミュラリーの構築が進めば、有効性のエビデンスが少ない薬剤は使用リストに入ることはない。有効性のエビデンスに乏しい上、薬価の高い新薬は窮地に追い込まれるだろう。

という、個人の妄想だ。

人気の投稿