2020年度調剤報酬改定(分割調剤)














31日以上の長期処方が増えている。任意回答の調査ではなく、レセプトデータ(NDB)に基づく数値であるため、偏りのない結果となる。全国平均としての傾向を示している。そして、その傾向は病床数の多さに準じてきれいな相関傾向を示しており、病院の機能に準じた役割分担が着実に進んできている結果と考えられる。しかし、長期処方は本来というか診療報酬の施行通知によれば慎重を期すべきものであり、病状が変化した際の対応方法等について患者への周知が必須と記されている。一方では、医療リテラシーの高い患者は多くないのが現実で、適切な薬物治療を行うには長期処方の分割か、中間でのフォローが必要であると考える。そこで、有用になり得るのが分割調剤だ。
しかしながら、分割調剤の活用事例は長期処方の現状と裏腹に著しく低い上、制度設計も分かりづらとっつきにくい。このことは、厚生労働省による調査結果からも明らかなのだが、岡山県の局地的な取組み事例を見ると、分割調剤、服薬情報等提供料(分割回数で除した点数)をうまく組み合わせた多職種連携が可能であるということが見えてくる。環境と人さえ整いさえすれば、現行の制度を利用した有効事例が生まれるということが示されている。こういった取組みは有用性が高いながらも、現行の制度設計では医療機関と薬局にとっては経営的にマイナス面の要素が大きく、気持ちの面で本腰が入らないというのが本音ではなかろうか。そこに助け舟を出せるのが診療報酬改定である。

論点として挙れているのは、長期処方の分割指示におけるインセンティブ付与と、服薬情報等提供料の評価(良い意味での見直し)の2点に加えて、更なる推進策の検討である。船員でもない限り、次回診察までが90日という期間は決して安穏と過ごせる時間ではなく、途中の介入は必須と考えれば、タスクシフティングの観点からも薬剤師の役割があると考えるがどうなるだろうか。 #009

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