骨太方針2019を読む(社会保障)⑩
2019/08/11
(ⅱ)医療提供体制の効率化 1/3
2040年に向けて人材不足等の新たな課題に対応するため、地域医療構想の実現に向けた取組、医師偏在対策、医療従事者の働き方改革を三位一体で推進し、総合的な医療提供体制改革を実施する。地域医療構想の実現に向け、全ての公立・公的医療機関等に係る具体的対応方針について、診療実績データの分析を行い、具体的対応方針の内容が、民間医療機関では担えない機能に重点化され、2025年において達成すべき医療機能の再編、病床数等の適正化に沿ったものとなるよう、重点対象区域の設定を通じて国による助言や集中的な支援を行うとともに、適切な基準を新たに設定した上で原則として2019年度中に対応方針の見直しを求める。民間医療機関についても、2025年における地域医療構想の実現に沿ったものとなるよう対応方針の策定を改めて求めるとともに、地域医療構想調整会議における議論を促す。こうした取組によっても病床の機能分化・連携が進まない場合には、2020年度に実効性のある新たな都道府県知事の権限の在り方について検討し、できる限り早期に所要の措置を講ずる。地域医療介護総合確保基金の配分(基金創設前から存在している事業も含む)における大幅なメリハリ付けの仕組みや国が主導する実効的なPDCAサイクルを構築するとともに、成果の検証等を踏まえ、真に地域医療構想の実現に資するものとする観点から必要な場合には、消費税財源を活用した病床のダウンサイジング支援の追加的方策を講ずる。病床の転換や介護医療院への移行等が着実に進むよう、地域医療介護総合確保基金や急性期病床や療養病床に係る入院基本料の見直しによる病床再編の効果などこれまでの推進方策の効果・コストの検証を行い、必要な対応を検討する。
コメント:
今年度の骨太方針を読むと、2025年は一つの通過点にしか過ぎないということを改めて痛感させられる。もう一つのメルクマールとして設定されている2040年にはいったい何が起きるのだろうか。
国立社会保障・人口問題研究所の将来推計(2019年4月19日)によれば、世帯数は2035年までに46都道府県で減少が始まり、平均世帯人員はすべての都道府県で減少する。そして、65歳以上の世帯主の割合は2040年には45道府県で40%以上となり、そのうち単身世帯の割合は全都道府県で30%以上となるとのこと。
配送業者で例えるなら、自宅のベルを鳴らすと3軒に1軒では65歳以上の方が応えることになる。世帯数が減少するため配達する客数自体は減るだろうが、単身世帯が増えることで留守のケースも多くなりそうだ。
その前に若手を中心とする宅配要員自体の数が減るため、今のままでは現行のビジネスモデルは機能しなくなるだろう。高齢者人口は依然としてボリュームはあるが、安全面を考えると高齢ドライバーに宅配を任せるわけにはいかない。ビジネスモデルの再構築が必須となる。
高齢者人口の増加に応じて需要が増す医療・介護の業界も、この問題は他人事ではない。労働力不足、患者数減少に備えて何ができるかを真剣に考えなければならない。しかし、ダウンサイジングを急激に推し進めてしまっては、当面続く医療・介護の需要増に対応することができくなってしまう。このジレンマをうまく乗り切った医療機関、薬局のみが2040年に生き残っていられるような気がしている。
(ⅱ)医療提供体制の効率化 1/3
2040年に向けて人材不足等の新たな課題に対応するため、地域医療構想の実現に向けた取組、医師偏在対策、医療従事者の働き方改革を三位一体で推進し、総合的な医療提供体制改革を実施する。地域医療構想の実現に向け、全ての公立・公的医療機関等に係る具体的対応方針について、診療実績データの分析を行い、具体的対応方針の内容が、民間医療機関では担えない機能に重点化され、2025年において達成すべき医療機能の再編、病床数等の適正化に沿ったものとなるよう、重点対象区域の設定を通じて国による助言や集中的な支援を行うとともに、適切な基準を新たに設定した上で原則として2019年度中に対応方針の見直しを求める。民間医療機関についても、2025年における地域医療構想の実現に沿ったものとなるよう対応方針の策定を改めて求めるとともに、地域医療構想調整会議における議論を促す。こうした取組によっても病床の機能分化・連携が進まない場合には、2020年度に実効性のある新たな都道府県知事の権限の在り方について検討し、できる限り早期に所要の措置を講ずる。地域医療介護総合確保基金の配分(基金創設前から存在している事業も含む)における大幅なメリハリ付けの仕組みや国が主導する実効的なPDCAサイクルを構築するとともに、成果の検証等を踏まえ、真に地域医療構想の実現に資するものとする観点から必要な場合には、消費税財源を活用した病床のダウンサイジング支援の追加的方策を講ずる。病床の転換や介護医療院への移行等が着実に進むよう、地域医療介護総合確保基金や急性期病床や療養病床に係る入院基本料の見直しによる病床再編の効果などこれまでの推進方策の効果・コストの検証を行い、必要な対応を検討する。
コメント:
今年度の骨太方針を読むと、2025年は一つの通過点にしか過ぎないということを改めて痛感させられる。もう一つのメルクマールとして設定されている2040年にはいったい何が起きるのだろうか。
国立社会保障・人口問題研究所の将来推計(2019年4月19日)によれば、世帯数は2035年までに46都道府県で減少が始まり、平均世帯人員はすべての都道府県で減少する。そして、65歳以上の世帯主の割合は2040年には45道府県で40%以上となり、そのうち単身世帯の割合は全都道府県で30%以上となるとのこと。
配送業者で例えるなら、自宅のベルを鳴らすと3軒に1軒では65歳以上の方が応えることになる。世帯数が減少するため配達する客数自体は減るだろうが、単身世帯が増えることで留守のケースも多くなりそうだ。
その前に若手を中心とする宅配要員自体の数が減るため、今のままでは現行のビジネスモデルは機能しなくなるだろう。高齢者人口は依然としてボリュームはあるが、安全面を考えると高齢ドライバーに宅配を任せるわけにはいかない。ビジネスモデルの再構築が必須となる。
高齢者人口の増加に応じて需要が増す医療・介護の業界も、この問題は他人事ではない。労働力不足、患者数減少に備えて何ができるかを真剣に考えなければならない。しかし、ダウンサイジングを急激に推し進めてしまっては、当面続く医療・介護の需要増に対応することができくなってしまう。このジレンマをうまく乗り切った医療機関、薬局のみが2040年に生き残っていられるような気がしている。