骨太方針2019を読む(社会保障)⑦

2019/07/04

(多様な就労・社会参加に向けた年金制度改革等)
高齢者、女性をはじめとして多様な就労・社会参加を促進するため、勤労者が広く被用者保険でカバーされる勤労者皆社会保険制度の実現を目指して検討を行う。働き方の多様化に応じた年金受給開始時期の選択肢の拡大、被用者保険の適用拡大について検討を進めるなど、多様な生き方、働き方に対応した社会保障制度を目指す。雇用の期間を「縦」に伸ばす観点から、元気で働く意欲のある高齢者の雇用機会の更なる拡大に向けた環境を整備するとともに、雇用の選択肢を「横」に広げていく取組を進める。あわせて、サービス業で増加している高齢者の労働災害を防止するための取組を推進する。短時間労働者に対する厚生年金保険及び健康保険の適用範囲について、これまでの被用者保険の適用拡大及びそれが労働者の就業行動に与えた影響についての効果検証を行いつつ、法案提出も含めた必要な措置を講ずる。また、多様で柔軟な働き方を支援するため、就業調整の是正に向けた環境整備を進めるとともに、企業によるキャリア相談やサバティカル休暇制度の導入を促進する。高齢期における職業生活の多様性に応じた一人一人の状況を踏まえた年金受給の在り方について、高齢者雇用の動向、年金財政や再分配機能に与える影響、公平性等に留意した上で、繰下げ制度の柔軟化を図るとともに、就労意欲を阻害しない観点から、将来的な制度の廃止も展望しつつ在職老齢年金の在り方等を検討し、社会保障審議会での議論を経て、速やかに制度の見直しを行う。また、老後の生活設計の選択を支援するため、随時ねんきん定期便等の記載を見直す。雇用情勢はアベノミクス等の成果により引き続き安定的に推移していること等を踏まえ、消費税率引上げ後の国民の所得環境にも配意し、雇用保険の積立金の積極的な活用と安定的な運営の観点から、雇用保険料と国庫負担の時限的な引下げの継続等について検討する。


定年後、早期退職後でも、職を選ばなければまだまだ働き場はあるのだろうか。

政府は、多様な就労形態、年期需給開始時期の先送りを進めるが、一方では早期退職によってリストラが進み、AIによる業務の代替が拡大している。更には、人口減少や景気減退によって消費行動が停滞することで、必要な労働力は確実に減少してきている。

そのような実状にある社会で、本当に多様な就労は可能なのだろうか。

そして、勤労者皆社会保険制度は企業に思い負担を強いることになり、より一層雇用の障害につながることになる。政府が推し進めようとしていることは二律背反なのではなかろうか。

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