21日へ向けて骨太方針2019(案)を読む②

2019/06/19

骨太方針2019(案)を読むにあたり、2020年度の薬価制度改定と診療報酬改定がやはり直近の関心ごとになる。該当部分を抜粋(黄色)し、その内容を読み解いてみる。

(ⅳ)診療報酬・医薬品等に係る改革
イノベーションの推進を図ること等により、医薬品産業を高い創薬力を持つ産業構造に転換するとともに、「薬価制度の抜本改革に向けた基本方針」に基づき、国民負担の軽減と医療の質の向上に取り組む。こうした観点から、前回の薬価改定で引き続き検討することとされた課題等について結論を得、着実に改革を推進する。また、医薬品開発の促進に資する薬事規制の合理化を進める。

私見:引き続きイノベーションの評価と薬価制度改革を推し進めるというメッセージと考える。前回同様の書き出しではあるが、今回は、今回は費用対効果検証のスキーム検討が進み実施段階に入ったことで、製薬業界としては気の抜けない状況になってきた。そして、画期的新薬の開発推進と費用対効果による評価スキーム確立の一方では、薬価制度の抜本改革の推進、つまりは長期収載品の薬価を早期に引下げるスキームや、中間年の薬価改定スキームが引き続き検討される。


バイオ医薬品の研究開発の推進を図るとともに、バイオシミラーについては、有効性・安全性等への理解を得ながら研究開発・普及を推進する。

私見:読んで字のごとく、バイオシミラーの普及を推進するとうメッセージだ。エタネルセプトBSの例から、自己負担引き下げのインセンティブがある製剤では切替が進むことが分かっている。国民医療費の削減という意味では、自己負担の大小があろうがなかろうが、政府としてはBSに切替ることを望んでいるはずだ。有効性・安全性等への理解を得ながらじわじわと推し進めるのか、ドラスティックにいくのかは、お財布事情次第ではなかろうか。


調剤報酬について、2018年度診療報酬改定の影響の検証やかかりつけ機能の在り方の検討等を行いつつ、地域におけるかかりつけ機能に応じた適切な評価や、対物業務から対人業務への構造的な転換の推進やこれに伴う所要の適正化等、2020年度診療報酬改定に向け検討する。その際、医療機関及び薬局における調剤の実態や報酬体系を踏まえ、調剤料などの技術料について、2018年度診療報酬改定の影響や薬剤師の業務の実態も含めた当該技術料の意義の検証を行いつつ適正な評価に向けた検討を行う。

私見:調剤技術料、特に非薬剤師でも代替可能な行為の点数は引下げ決定。その代わりに、かかりつけ機能に係る点数等の薬学管理料は項目が増えるか、増点となる。

高齢者への多剤投与対策、生活習慣病治療薬の費用面も含めた適正な処方の在り方については引き続き検討を進める。

私見:ポリファーマシー対策に係る点数も注目だ。重症化予防まで及ぶかどうかは微妙なライン。思い切って、医科の医学管理料にあるような点数を調剤報酬に設けてみるのもおもしろいと考えている。また、フォーミュラリーはどうなるのか?が気になる表現だ。


後発医薬品の使用促進について、2020年9月までの後発医薬品使用割合80%の実現に向け、インセンティブ強化も含めて引き続き取り組む。

私見:後発医薬品調剤体制加算は、おそらく最後の施設基準引上げとなるだろう。75、80、85%のハードルが引上げられる。もしかしたら、2本柱になるかもしれない。そして、点数はそれなりに厚くなること考えている。

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