骨太方針2019を読む(社会保障)③

2019/06/25

(予防・重症化予防・健康づくりの推進)
(ⅰ)健康寿命延伸プランの推進
健康寿命延伸プランを推進し、2040年までに健康寿命を男女ともに3年以上延伸し、75歳以上とすることを目指す。健康寿命の延伸に関する実効的なPDCAサイクルの構築に向けて、各都道府県・市町村の取組の参考となるよう、健康寿命に影響をもたらす要因に関する研究を行い、客観的な指標等をしっかりと設定・活用しつつ、施策を推進する

2019年度より健康寿命延伸プラン(厚生労働省)がスタートした。重点分野は、① 次世代を含めたすべての人の健やかな生活習慣形成、② 疾病予防・重症化予防、③ 介護予防・フレイル対策、認知症予防に設定されている。

健康無関心層も含めた予防・健康づくりの推進及び地域・保険者間の格差の解消に向け、自然に健康になれる環境づくりや行動変容を促す仕掛けなど新たな手法も活用し、次世代を含めた全ての人の健やかな生活習慣形成等、疾病予防・重症化予防、介護予防・フレイル対策、認知症予防等に取り組む。

健康寿命延伸プランを進めるにあたり、最も厄介なのが「健康無関心層」である。これまでの施策に反応する層というのは、もともと健康に関心の高い人種である。不健康であることの不利益についていくら警鐘を鳴らしたところで、無関心層には全くもって響かない。政府の掲げる「自然に健康になれる環境づくり」があるとすれば、それが最も理想的なのだろうが、そんなにうまい話があるのだろうか。


<参考>健康寿命延伸プラン(厚生労働省)の主要事項
1.次世代を含めたすべての人の健やかな生活習慣形成り【産学官連携プロジェクト本部の設置、食塩摂取量の減少(8g以下)】 
 (1)栄養サミット2020を契機とした食環境づくり
   ①エビデンスの構築・強化・活用
   ②健康な食事への接点拡大
   ③健康無(低)関心層への啓発
   ④推進体制の整備等
   ⑤人材育成の推進
 (2)ナッジ等を活用した自然に健康になれる環境づくり【2022年度までに健康づくりに取り組む企業・団体を7,000に】
 (3)子育て世代包括支援センター設置促進【2020年度末までに全国展開】
 (4)妊娠前・妊産婦の健康づくり【長期的に増加・横ばい傾向の全出生数中の低出生体重児の割合の減少】
 (5)PHRの活用促進【検討会を設置し、2020年度に本人に提供する情報の範囲や形式について方向性を整理】
 (6)女性の健康づくり支援の包括的実施【本年度中に健康支援教育プログラムを策定】

2.疾病予防・重症化予防
 (1)ナッジを活用した健診・検診受診勧奨【がんの年齢調整死亡率低下、2023年度までに特定健診実施率70%以上等を目指す】
 (2)リキッドバイオプシー等のがん検査の研究・開発【がんの年齢調整死亡率低下を目指す】
 (3)慢性腎臓病診療連携体制の全国展開【2028年度までに年間新規透析患者3.5万人以下】
 (4)保険者インセンティブの強化【本年夏を目途に保険者努力支援制度の見直し案のとりまとめ】
 (5)医学的管理と運動プログラム等の一体的提供【本年度中に運動施設での標準的プログラム策定】
 (6)生活保護受給者への健康管理支援事業【2021年1月までに全自治体において実施】
 (7)歯周病等の対策の強化【60歳代における咀嚼良好者の割合を2022年度までに80%以上】

3.介護予防・フレイル対策、認知症予防
 (1)「通いの場」の更なる拡充【2020年度末までに介護予防に資する通いの場への参加率を6%に】
 (2)高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施【2024年度までに全市区町村で展開】
 (3)介護報酬上のインセンティブ措置の強化【2020年度中に介護給付費分科会で結論を得る】
 (4)健康支援型配食サービスの推進等【2022年度までに25%の市区町村で展開等】
 (5)「共生」・「予防」を柱とした認知症施策【本年6月目途に認知症施策の新たな方向性をとりまとめ予定】
 (6)認知症対策のための官民連携実証事業【認知機能低下抑制のための技術等の評価指標の確立】

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