メーカー発フォーミュラリー その③
2019/03/10
製薬企業によるフォーミュラリーへのアプローチは、従来型の新製品プロモーションスキームと大きく変わらない。オピニオンリーダーを擁立した講演会の開催、その機会を活用した自社製品の売込みと、出席者に対するアフターフォローだ。
オピニオンリーダーもそれなりの思惑を持って動いているため、何とかして自社品をフォーミュラリーに組み込みたい企業との間で、双方の利益が合致する。
製品ライフサイクルの観点から言えば、日本におけるフォーミュラリーはまだ導入期にある。そのため、実務者と同じ医師、薬剤師がオピニオンリーダーとなる意義は非常に大きい。製薬企業のみでフォーミュラリーを根付かせるのは不可能だ。
フォーミュラリーは容易いものではない。最悪の場合、せっかくの取組みが水の泡となってしまうことだってありうる。したがって、多くの製薬企業が真剣になれないのも、納得のいかない話ではない。
しかし、制度や保険による制約とは関係なく先進諸国で定着しているスキームが、日本で進まないわけがない。つまり、理論的には二の足を踏むという発想はありえないのだ。
難しいからこそ、成長期、成熟期へとステージが移る前に、実務者と苦楽をともにすることは、今後の展開に大きく影響すると考えている。