ヤバイよ、製薬会社のMR
2019/02/21
他人(ひと)の業界を揶揄して楽しんでいる場合ではなくなってきた。
製薬業界では、この年明けから、国際製薬団体連合会(IFPMA)による改定版コード・オブ・プラクティスがスタートした。
同連合会に加盟する日本製薬工業協会(製薬協)のみならず、製薬協未所属のの企業も追随し、製薬業界全体としての動きとなっている。
ボールペンやポストイットのみならず、これまで認められてきた国民的、文化的または宗教的な慣行に沿う類のものまでに規制の範囲は及ぶ。
世知辛い世の中になったと感じる半面、税金ベースの社会保障費を収益の根源としている業界にとって、医療の質向上につながらない費用は批判の対象となっても文句は言えない。
そして、さらに追い打ちをかけるように、「医療用医薬品の販売情報提供活動ガイドライン」が策定され、2月20日には厚労省より運用に関する細かいQ&Aが発出された。
厚労省 販売情報提供活動GLでQ&A MRの業績評価から「売上至上主義」排除求める
これは、今朝のミクスONLINEにあった記事のタイトルだ。
このタイトルだけを見ると、「ノルマから追われることなく仕事ができ、あぁ何ていい職種なんだ」という印象を持つ人がいるかもしれない。
しかし、その中身は従来型MRの営業スタイルを完全否定し、変われないMR、変われない製薬企業は厳しく罰するという通告そのものである。
当然のことながらオフラベルの情報提供は許されず、社内審査済みの資材以外を用いた情報提供は原則として禁止になる。
人間関係を円滑にするために行っていた社外活動も許されなくなり、MRごとに大きな営業上の特色が出しづらくなるだろう。
そうなれば、企業内で営業職へ寄せる期待は薄くなり、その存在意義自体が問われることになる。
さらには、フォーミュラリー策定に伴うシステマティックレビューが一般的になれば、製薬企業による偏った情報提供は歓迎されなくなる。
ここに、医療従事者の働き方改革が追い打ちをかける。情報提供のための面談時間すら確保できないのであれば、MRは不要と判断されて当然だ。
約5万人いるとされるMRに加えて、製薬各社では学術部門にも多くの人員がいる。
もしかしたら、5万人全員がいなくなっても、何ら支障はないのかもしれない。
恐ろしい話だ。