揺らぐ皆保険、フリーアクセス制

2019/01/07

本日の日経新聞朝刊にあった「再生医療、商用段階に 患者2500万人の膝治療で実用化」の見出しが目を引いた。

変形性膝関節症は高齢者中心の疾患だ。オプジーボの登場を機に、一部の高額薬剤で適正使用見直しがガイドライン化された。超高齢者に対する使用の是非が議論となったことは記憶に新しい。

そして今後は、CAR-T細胞療法や再生医療等の更に高額な治療手段が承認を控えている。

Novaris社がキムリア適用症例としているALL総患者数は5000人。日経新聞による変形性膝関節症の再生医療適用患者数は年間8万人以上となっている。桁違いだ。

保険での取扱いがどのようになるか注目だ。

高齢者医療費の増大、税収の減少に加えて、革新的な薬剤等の登場。また、4月からは外国人労働者受入拡大による同居者を含めた医療費増大も懸念材料となる。

日本の国民皆保険制度、フリーアクセス制が揺らいでいる。

奈良県知事の荒井正吾氏は、昨年末、自身が掲げた「地域別診療報酬」を事実上凍結した(参考:m3.com 医療維新、2018年12月25日)。一般の県民から支持は得られたとしても、数カ月後に医療提供体制が崩壊するのは目に見えている。抜いた刀をいとも簡単に鞘に収めてしまったわけだが、医療費削減の切り札として多くの関係者に印象づいたことは間違いない。

診療報酬海底への財務省による影響が強まる昨今、今月からの議論が見逃せない。

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