地域フォーミュラリーを考える⑤
2018/09/04
今回はステークホルダーのひとつとして製薬企業に目を向ける。
フォーミュラリーは、新薬メーカーのみならずGEメーカーにとっても大きなインパクトをもたらす。
元厚生労働省医政局長の武田俊彦氏は、8月4日に東京大学で行われたフォーミュラリーに関するシンポジウムにて、製薬企業に対して公平な立場でのフォーミュラリー策定への参画を求めた。
残念ながら当日は所用で参加できなかったため、ミクスonlineの記事を参考に考察を進めて行く。
以下、8月6日付のミクスonlineより抜粋。
“こうしたなかで、MRの役割についても変革を求め、「自社のためとなってしまうが、公平な立場で、地域ごとのフォーミュラリづくりに貢献していただけないか」と会場に呼びかけた。地域での“サイエンティフィック”な議論への貢献を求めた。医師の情報源としてインターネットの比重が高まる中で、「役目が終わった、とたそがれるのではなくて次の役割は何なのかということで積極的に取りに行ってほしい」と強調した。また、MRの評価軸についても、「自社の売り上げが伸びた伸びないで判断するのではなく、地域にどう貢献するかで会社として評価してほしい」と言及した。”
なかなかハードルの高い要請だ。
企業同士の利害関係という障壁以外に、そもそもMRがサイエンティフィックな議論に参加できるかどうかが疑問だ。聖マリアンナ医科大学病院でのフォーミュラリー検討の過程を見ると、院内の薬剤師でさえかなりの鍛錬を積まれている。そんなに勉強しているMRはほんのひと握りではなかろうか。
それでも、このフォーミュラリーの流れを製薬企業はただ指を加えて見過ごすことはできない。
東和薬品の吉田社長は、2017年11月132地の決算会見で、東和式フォーミュラリーを作成すると発表したらしい。その後、どのように進展しているかは明らかになっていない。どのような形で出来上がってくるかも不明だが、メーカーの取組みとしては大きな差別化要素になるだろう。
もしかしたら、この決算会見に先行している発表されたMSL200名育成はフォーミュラリーと関連しているのかもしれない。
自社でフォーミュラリーを検討し、MSLが医療機関で評価してもらう。これを繰り返すことで、いろいろな医療機関でカスタマイズ可能な東和式フォーミュラリーが完成する。こんなことを考えているのかもしれない。
MSLの育成はどこまで進んでいるのだろう?これも不明だ。