地域フォーミュラリーを考える⑧

2018/09/11

フォーミュラリーの拡大と浸透は国会財政にとっても歓迎すべきことである。医療費抑制への効果が高ければ、政策的に誘導したいと考えるだろう。

つまり、診療報酬上での何らかの評価が付く可能性があるということだ。

2017年11月の中医協総会では、実際にフォーミュラリーに関する検討が行われた。

2018年の改定では点数新設に至らなかったが、もしかしたら次回は?という機運が高まった。

どんな施設基準で、どれぐらいの加算になるのか。皮算用は難しいが、着々と準備を進める病院は増えているだろう。

ところで、仮になんらかの加算が新設されるとして、どのような施設基準が設定されるだろう。

検討委員会の組織体制、院内採用ルール、開催頻度等の基準とともに、何らかの数値的ハードルが必要になる。

真っ先に浮かぶのが、カットオフ値だ。

フォーミュラリーの導入はカットオフ値の上下に密接に関わる。しかし、いくつかの病院で状況を伺っていると、入院医療の内容(急性期、回復期、慢性期)や外来の院内処方割合等で、施設間の差が非常に大きいことが分かってきた。したがって、カットオフ値は適切でないという判断に至る。

では、院内で実際に使用しているフォーミュラリーを申告させるという形式はどうだろう。

それが、疾患単位か、薬効別単位なのかの議論は置いておくとして、処方の優先順位にその理由と根拠(エビデンス)の記載を必須として、申告した件数に準じた加算を付けるのだ。例えば、申告件数3件(PPI、スタチン、ビスホスホネート製剤)なら入院初日に10点という形だ。

ここで問題なのが、厚生支局の担当者がフォーミュラリーの妥当性を判断できるかどうかということだ。個人的には、最初の2年は厳正な審査は必要ないと考えている。申告されるものは全て受理しても良い。まずは、フォーミュラリーの概念を定着させることを目的とする。ただし、適時調査等による運用実態のチェックは必須だ。

政府によるGE使用促進策が続く中、新薬や長期収載品ばかりを優先するフォーミュラリーが乱立するとは考えづらい。これでもある程度の医療費抑制効果は期待できるだろう。

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