地域フォーミュラリーを考える④
2018/08/31
自院発信の地域フォーミュラリーを拡大しようとする病院は、患者の紹介先の病院、クリニックにも同じフォーミュラリーを使用して欲しいと考えるだろう。
そこで、○○病院フォーミュラリー参加医療機関リストの作成が始まる。
○○病院は、リストに掲載された医療機関へ優先的に患者を紹介する。逆に、紹介して欲しい医療機関は○○病院フォーミュラリーに参画する。こんな力関係が生まれそうだ。
薬局への影響としては何が考えられるだろう。
まずはフォーミュラリーに選定された薬剤について語れる知識が必要だ。詳しくは先のブログ①③で述べた内容をご参照あれ。
更に薬局・薬剤師ができることに、ジェネリックの製剤評価がある。これにより銘柄ごとに製剤特性に関する情報を付加したジェネリックのリストが作成できる。これも広義の意味でフォーミュラリーと言っていいと考えている。
フォーミュラリーというのは一般的に、エビデンスと経済性で評価された薬剤の処方の優先順位を示したリストである。
フォーミュラリー=ジェネリックリストではないのだが、経済性が加味されるため必然的にジェネリックが入ることになる。その際、病院によって銘柄選定の基準がバラバラであることは、実際の採用銘柄が異なっていることから明らかだ。
では、院外処方箋を応需した薬局は、ジェネリックの銘柄選択についてどのように対応したらいいだろう。
個人的には、銘柄選択は薬局に一任されるべきと考える。しかし、フォーミュラリーリストにある銘柄以外を選定するにはそれなりの根拠が必要だ。
ここでヒントになるのが、現在上田薬剤師会が取組んでいる地域フォーミュラリーである。これは、ジェネリックの銘柄選択をする際の根拠情報を付与した品目リストと理解している(誤っていたら、ご訂正願う)。
上田薬剤師会のメンバーで、徹底的に製剤評価を行い、リストを作成している。こちらのフォーミュラリーも、一旦作っておしまいではなく、メーカーの製剤改良、患者からの仕様感の意見等によりブラアシュアップしていくとのこと。非常に面白い取り組みだと思う。
通常の一般名処方への対応でも有益であるが、市中の医療機関によるフォーミュラリーと掛け合わさったとき、日本ならではの地域フォーミュラリーが完成すると考えている。