バイオセイムって
2018/08/24
8月15日付けでネスプのバイオセイム品の製造販売承認取得が確認された。
バイオシミラーなのか、オーソライズドなのか、はたまたただのジェネリックなのか、定まった呼称がないため、ここではバイオセイムを用いる。
8月23日が薬価収載希望申請の締切だった。
協和キリンフロンティアの経営戦略がどのような判断に至ったかはベールに包まれたままだ。
個人的には、12月の発売はないと考えている。
競合他社のバイオシミラー発売予定がない現状で、薬価が5割になるかもしれない製品を発売するメリットは少ないからだ。
発売時期がいつになるかはさておき、バイオセイムの登場は今後のバイオ市場にとって大きなイベントとなる。特に当該製品はマルメの透析で使用されるケースが圧倒的であるため、安い製品が出れば確実に切替が進む。このことを前提にバイオセイム発売のメリットを考察してみる。
まずは、早期参入による圧倒的シェア獲得により、他社の参入計画をご破算にすることができる。内服薬でさえAGがそれなりのシェアを獲得することを考えると、バイオ製剤であればことさらだ。
コストを意識する医療機関はほぼ全てバイオセイムに移行することから、ネスプを安売りする必要がなくなる。というよりもほとんど売れなくなると言ったほうが正しい。そうなると、ネスプの薬価は維持され、仮にネスプのバイオシミラーが参入するとき、その薬価を高くするという効果がある。ほとんど心配いらないが、ネスプのバイオセイムからの切替防衛策になる。
また、薬価が先行品の7割ではなく半分になることより、他のエリスロポエチン製剤等からのスイッチされる可能性が高くなる。
血液維持透析で使用されるケースでだ、薬剤の差益よりも、購入単価が重要だ。安ければ安い程よい。そのため、ミルセラはもとより、エスポー、エポエチンアルファBS、エポジンも十分に射程範囲となる。
参入タイミングの判断は、他製剤からのスイッチをどれだけ見込むかに依る。いろいろ考えていたら、12月もあるんじゃないかと思えてきた。年の瀬が待ち遠しい。