ふぉーみゅらりー

2018/07/06

H30年度改定に向けた中医協における審議で「フォーミュラリー」という言葉が俎上にあがっていた。

幸いH30年度改定には盛り込まれなかったため、胸をなでおろした製薬企業は多かったに違いない。

院内フォーミュラリ−が整備されるということは、エビデンスと経済性だけで採用が決まってしまう。
特に既存成分の光学異性体や、同種同効薬の多い領域では、非常に大きな影響を受けるメーカーが出てくるに違いない。

外来医療について中医協で提出された資料を見ると、フォーミュラリーを「患者に対して最も有効で経済的な医薬品の使用における方針」と定義して尋ねた場合、調査対象321病院のうち既に定めているところは3.4%だった。

DPC対象・準備病院(113病院)に限局すると7.1%まで割合が高まる。

どれほどのクオリティのものができているかはわからないが、意外とあるな、というのが個人的な印象だ。

H30年度では具体化せずに終わったが、骨太の方針2017、2018に「生活習慣病治療薬の費用面も含めた適正な処方の在り方については引き続き検討を進める」とあることより、次回改定あたりでフォーミュラリーに関する改定があると考えている。

ここまで当然のように使用している“フォーミュラリー”とはいったい何のことだろうか。

中医協の資料では、「医療機関等における標準的な薬剤選択の使用方針に基づく採用医薬品リストとその関連情報。医薬品の有効性や安全性、費用対効果などを踏まえて、院内の医師や薬剤師等で構成される委員会などで協議し、継続的にアップデートされる。」と定義付けされている。

単なる院内の採用医薬品集のことではない。そこには、医師を納得させられるほどのエビデンスによる裏付けと、医療経済性への留意が込められている。

少ない現場訪問による限られた情報からであるが、フォーミュラリーの必要性を意識する病院が増えていると感じている。

その発端は、後発医薬品使用体制加算のカットオフ値(50%)にある。

一部のDPC病院では、後発品使用体制加算のハードルをクリアしていながらも、このカットオフ値が原因で加算算定が危うくなっているのだ。

カットオフ値の大幅な改善には院内における処方の厳格な管理が必須となる。
つまり、薬剤部による医師の処方コントロールが必要になるということだ。

カットオフ値によりフォーミュラリー導入の機運を高めるという構図を国は描いていたのだろうか。

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