一般的にはグレーゾーンって黒だけど
2018/06/07
コンプライアンスにおけるグレーゾーンは、一般的には黒、つまりアウトだ。
白に黒が混じっているからグレーなのだ。
この場合は、白黒つけてもらうよりも、グレーゾーンのままでうやむやにしておいたほうが良いこともある。
しかし、事業の妨げとなるようなグレーゾーン(判断があやふやなケース)については、すぐにでも白黒つけて欲しい。
そのための制度が経済産業省による「グレーゾーン解消制度」だ。
このグレーゾーン解消制度は平成26年ぐらいから始まった制度で、医療関連分野でも申請が結構ある。
医療業界で最近話題に上がった事例に、昨年の「薬局における待ち時間を短縮する薬剤の販売方法の導入」があった。
恥ずかしながら、この申請事例を知るまで私はグレーゾーン解消制度の存在を知らなかった。
そして、6月1日付で「薬局における営業時間外の薬剤の受け渡しサービスの導入に係る医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律の取り扱い」の照会に対する回答が経産省から出された。
すでに多くの業界紙にて取り上げられている。
http://www.meti.go.jp/press/2018/06/20180601003/20180601003.html
この照会内容を確認したところ、調剤された薬剤は「患者への授与にあたり、薬剤師による患者への直接の授与と同視しうる程度に、当該薬剤の品質の保持や、患者本人への確実な授与を確保」しなければならないとの記載があった。
昨今、配送業界で活用促進を呼びかけている共有型宅配ボックスみたいなもののから薬を受け取るという仕組みのようだ。それにしても、よくこういったことを思いつくものだ。
この照会内容を読んでふと疑問に思ったのが、先にあげた事例の“郵送”は”品質の保持”ができる手段なのか?という点だ。
分包品以外は、基本的には“室温保存”しなければならないはずだ。
真夏の運送業者のトラック、バイクの荷台は“室温条件下”なのだろうか。
以前、某薬系学会で、真夏の某配達会社による輸送時の段ボール内の温度を計測した結果を発表された方がいた。
その発表によると外気温に準じて段ボール内の温度も上昇し、室温を逸脱する時間帯もあった。明らかに「直接の授与」とは同視できない条件だ。
郵送は黒(アウト)ではなかろうか。
そろそろ梅雨入り。梅雨が明ければ夏本番。軟カプセルが溶けないことを願うばかりだ。