薬局も洗濯の時代だ
診療報酬改定で業界がバタついている3月、耳を疑うような情報に複数遭遇した。
基本料3のイを回避するため、これ以上の新規出店をやめる、既存店舗を統廃合して患者数を微減させる。
はたまた、同一グループの規模を縮小するため分社化した企業もあるとかないとか。
同一グループの定義は、様々なパターンを網羅できるよう、厚労省によりかなり細かく設定されている。
わざわざ細かく確認はしていないが、こんな細工が通用するのだろうか。
さらには、同一医療機関の周辺に複数店舗展開している企業では、他の企業と店舗をバーターするという話も出ていたが、その後の顛末はあえて聞いていない。
頭のよい経営者は、本当にいろいろなアイデアを思いつくものだ。
一般的には、成長戦略=新規ないしM&Aによる店舗数増加がセオリーだと思う。
この点について、前述の企業の経営者がどのように考えているのか機会があれば伺いたいと思う。
一方で、人口減(患者数減少)、働き手不足、施設基準の厳格化などの誘因を考えると、既存店舗を充実させることに重きを置くスキームも有効なのかもしれない。
コミュニティデザイナーの山崎亮氏は著書で“縮充”という考えを提案している。
コミュニティの人口が減少しても、エリアを狭めて住民の参加・活動率が高まれば、そのコミュニティは充実するというような考え方だ。
店舗の統廃合にも同じような考え方が適応できると考えている。
特にこれからは、かかりつけ、在宅、健康サポートなど薬局の業務量増加は必至だ。とても、少人数では対応できない。
そこで、患者さんには申し訳ないが、店舗を統廃合することも選択肢となる。このことで1つの店舗の薬剤業務内容を充実させることができるのではないだろうか。
縮充とはもともとウールなど繊維の加工(洗濯して敢えて縮毛を起こす)に使われる用語だ。しかし、今後の日本におけるコミュニティデザインにとてもしっくりとくる表現だと思う。
薬局も選択して店舗の充実を図る。
多店舗展開だけではドラッグ勢に敵わないと考えている。