日本調剤の長期ビジョンは全薬局の羅針盤

2018年5月7日

4月27日、日本調剤より「2030年に向けた長期ビジョン」が発表された。



当局が示す薬局ビジョンに沿った事業展開戦略と、調剤事業以外の売上・利益構成比を
伸ばす意図が明確に打ち出されている。

または、当局のビジョンを完結にまとめたスライドのようにも捉えられる。



それぞれの方策について具体的な記載は無いが、日本調剤グループの事業内容と照らし合せると非常に面白いメッセージである。

GE目標値は80%としつつも医療費抑制には抜本的対策が必要と訴えている。
抜本的対策とは何か?私見ではあるが、これはGEから新薬(GE発売なし)への処方チェンジによるGE数量比率アップ、その一方で生じる医療費アップの矛盾にメスを入れることと考える。院内にとどまらない地域、保険者フォーミュラリーの提案だ。

次に、地域包括ケアシステム実現に込められたメッセージは、退院時カンファや電子お薬手帳による貢献を示唆していると思われる。

最後の「全ての薬局をかかりつけ薬局へ再編→調剤薬局の淘汰」が非常に気になる。
日本調剤では、何を「かかりつけ薬局」として定義しているのだろうか。日本調剤の一般向けホームページを見ると、かかりつけ薬剤師がいる薬局をかかりつけ薬局と定義しているように感じる。つまり、全ての日本調剤店舗にてかかりつけ薬剤師を最低1名届出するということになる。最低1年の在籍期間が必要になるので、一定の離職率を勘案すると、極端に異動は少なくなるだろう。


Coreビジネスにシナジーとして作用する2つのポイントも注目点だ。日本ジェネリックとアウトソーシング事業の更なる拡大だ。アウトソーシング事業に乗じた日本ジェネリックの拡大とも考えられる。いよいよ病院薬剤部業務受託、フォーミュラリーコンサルタンティングの本格始動だ。


1兆円規模は、Dgsでもない。GMS規模への挑戦とその後の飛躍がイメージとして描かれている。1兆円規模なら、中堅のDgsはM&Aできる。ただ、12年後の市場環境がどうなっているか、本当にそれは不透明である。




人気の投稿